老人ホームあれこれ
ここのところ、老人ホーム入所支援の業務が立て続けに依頼されている
各種一通り入所の支援をして思う
老人ホームといっても本当にいろいろだ
◇介護付き有料老人ホーム
◇特別養護老人ホーム
◇グループホーム
◇サービス付き高齢者住宅
◇住宅型老人ホーム
と名称も違うが、金額も違うし、会社によっても手続きひとつ、持ち込みする家具も違う
生活保護NOもあるし、その地に住んでないと入れないなど、いろいろ条件も違う
介護付き有料老人ホームは正にピンキリだ
月額10万円台のところは、少ない人数で回しているせいか、イレギュラーな対応は嫌なようだ
手続きに必要な委任状数枚に名前を書いてもらう手伝いを依頼をした コロナで面会制限のある時期だ
あっけなく、人数いないからと断られ、ワクチン接種証明提示した上特別に面会が許された
夜勤者は、日本語がたどたどしいフィリピーナという噂も聞いたことがある
逆に30万円を超えてくると、ホスピタリティも高い雰囲気で、スタッフも表情は柔和な気がする
細かいことを電話で依頼しても気持ちよく柔軟に対応してもらえる
携帯電話のメモリーが一杯みたいで写真の保存ができないからショップに行きたいと連絡があった
一応スタッフに見てもらえないかとダメ元で依頼をしたら、気持ちよく引き受けてくれ、直ぐにフィードバックがあった 使い方が間違っていただけだった
グループホームは認知症と診断を受けた方が少人数(9名くらい)で生活する場だ
少人数だからか、静かでアットホームである まったりと時間が流れている雰囲気だ
同じ市区町村に住む人しか入所できない 生活保護OKのところもあれば、NGのところがある
料金はだいたい20万円以内だ まるっと面倒をみてもらえる
お部屋は個室だが、室内に用意してある備品はまちまちで、
ベッド、布団、カーテン、テレビ完備のところもあれば 全て持ち込まないとならないところもある
そもそも認知症の方は自分が認知症だとは思っていない、それなりに忘れっぽいが人様に迷惑をかけてないと
独りで生活できている と本気で思っている でも独居はどうみても限界な状況である だいたい家の中の整理整頓はできず、風呂にも入れていない
しかし本人に入所の必要性を説明しても強烈に拒否する 絶賛拒絶だ
そこを何とかごまかして連れて行く作戦をたてる 家族はやはりかなり後ろめたい様子だ 罪悪感で揺れる
『おおきなお風呂に入るって~タオル持っていって!』
『歯医者でレントゲン撮らないといけないから、歯医者に行くよ』
と笑顔で当然のように促し車に乗せる 流石の私もすこし心が痛い
まさに冷や冷やだ、気づいて帰りたいと暴れ出し逃げ出すかもしれない 万全の準備をスタッフ含め行う
本来なら、自宅の家財をそのまま持ち込むのが、心理的にも落ち着くらしいので、そうしたいが、
拒絶している場合、事前持ち込みができない 気づかれ拒否されたら元も子もないからだ
布団から着替えTVにTV台と買い揃える 加湿器、やゴミ箱、ハンガーも必要だ
初日どれだけ騒ぐか暴れるか逃げるか皆で構えていた
が
あっさりと静かに生活が始まった
受け入れたわけでも理解したわけでもない
すでに現状を理解し反発する力がないほど認知機能が低下していたのだ というのが正解だろう
認知症は想像していたより遥に進行していたのだ このまま独居を続けていたほうが危険だっただろう
酷い痔の症状が見つかるなど、入所したからこそ発見に至ったこともある
家族としては、後ろめたさもあったが入所の判断が間違っていなかったと胸を撫でおろせた
サービス付き高齢者住宅と住宅型高齢者施設は
いわゆる、高齢者専用のマンションである 施設ではない
独りで生活がまだできる人には最適だ 人の目があって 食事も出る
ただ、認知症、高齢で自宅での生活もままならなかった人にとっては中々難しい環境かもしれない
そして家族がいない、親族が近くにいない、家族も高齢だと 入所準備も大変である
洗濯機こそコインランドリーが使えるが、その他は全て揃えないとならない 転居準備も大変である
買い出しも一苦労だ
ゴミ袋、バケツ、雑巾、トイレクリーナー、フキンと細かいものまで揃えないとならない
高齢の家族や遠方からくる家族には重労働だ
また、自宅での生活がままならない人の家財をそのままは持ち込むと大変になることもある
以前布団からすべて持ち込みした方があった
ほどなくして南京虫が大量発生し共用部まで広がり大変な騒ぎになったことがあった
契約手続きも本当に大変だ
大まかにいうと部屋を使うことと、介護サービスを受けることは別契約だというのが特徴なのだ
ということで介護サービスから生活支援サービス、ケアマネジャーとの契約まで全て別契約である
ディサービス、医師、薬局、介護用品のレンタルと本当に沢山な契約を行う
高齢の家族はそれだけでパニックになる
部屋の契約は、会社によっては不動産契約と同じ手続きと同じ感覚だ
身元引受人、身元保証人に、印鑑証明書の提出を求めてきたところには驚いた
認知症で高齢の方がサービス付き高齢者住宅に入居した
歩行器押しながら歩き、会話もスムーズにできる、食事も自立だ 排泄はたまに失敗レベル な状況だ
でも認知症で90歳オーバーでは、新しい環境に順応し自立した生活をスムーズに始めるにはかなり難しい
着替え一つ、トイレに行くタイミングもおぼつかない 掃除もできない 慣れるまで覚えるまで声かけ見守りが必要だが、
サービス付き高齢者住宅では契約しておかないと何もしてもらえない
何かあれば駆けつけてくれるが、何もなければ定期巡回以外はほぼ放置だ
洗濯機すら使い方は覚えられないし、高齢で認知症ではそこまでの意識も低い そして乾燥機には身長が低く手も届かない
親族がマメに来て代わりにいろいろやるならいいが、そうでないと自分のことは自分でするのがサービス付き高齢者住宅だ
ということで、最初のうちは乾燥機終わったら声掛けてもらい、取り出すのを手伝ってもらえないか頼んだところ
「15分600円の自費サービスで料金いただきます 皆さんもそうしているので」
ルールとはいえ入所早々、この程度でも気持ちよく見守り様子を伺う介護の精神はご法度ということが良く分かった瞬間だった
それがサービス付き高齢者住宅なのだ 住宅型老人ホームも同様のシステムだ
自立して自分で理解して新しい環境でも組み立てて生活できる人には、この上ない安全で安心の場所ではあるが
認知症高齢者で自立の生活がおぼつかない方にとってはサービス付き高齢者住宅での生活はいかがなものかと考えさせられた