転倒

高齢者は転倒がどうしても多くなる
腰、背中、首が曲がり 足の筋肉が弱り 踏ん張れないからか 重心が不安定になる
頭は下がり 振らなくなるのでどうしても視界が狭まる
多くの情報処理が難しくなるためか 全体の注意が散漫となる
足の筋肉が弱り腿上げが減ることで 歩き方がすり足となり 小さい段差でもつまずきやすくなる
ただ 転倒は いろいろな事故怪我につながるから厄介だ
転倒①
歩行が不安定のため普段は杖を必要としているが、よく忘れてしまうのが常の80歳後半の女性
明け方ベッドから起き上がり 杖を持たず トイレに向かおうと歩き出した
寝ぼけ眼もあり ふらつき転倒した
施設での生活だったので、スタッフがすぐ気づいたものの 痛すぎて動くことができない
骨折を疑い 救急搬送された 検査すると 案の定大腿骨の骨折だった
翌日 ボルトを入れる手術を行うことが決まった
主治医の話によると 年齢もあり また認知機能の低下もあるため
リハビリをしても意欲や目的意識を維持することは難しいでしょう ということで
リハビリはせず 車いすへの移乗に痛みが減る だいたい術後2週間で退院 と言われた
きっちり2週間で退院となり もちろん歩くことも自力で立ち上がることもできず 100%車いすでの生活となってしまった
当然 2週間の入院生活で、明らかに認知機能の低下も顕著になっていた
転倒するだけでは済まない 認知症状の低下と車いす生活 高齢者の転倒の怖さである
転倒②
自宅で独り暮らしの70歳女性
エアコンの調子が悪く 暑くて寝られないとぼやいていた エアコンの修理を促しても なぜか躊躇していた矢先
猛烈に暑くなった7月 寝ている間に 脱水症状を起こしたのかもしれない ベッド付近で転んで動けなかったのかもしれない
起き上がろうとした姿勢のままベッド上で亡くなっていた
異変を察知したのは 週1回通う買い物同行のヘルパーさんの訪問だ
新聞は2日分ほど溜まり ドアフォンにも応答しない
ヘルパーさんが来る日に連絡なしに出かけることは絶対にしないので室内にいるのは確実だ
警察の調査で分かったことは 新聞は2日分溜まっていたけれど、亡くなったのは当日だろう ということだった
脱水症状と熱中症が原因になった
2日くらい 動けない状態のまま 外部に連絡できないままだんだん衰弱していったのかもしれない
独り暮らしの自宅で転倒してしまうと
連絡しようにもできないまま命を落とすことに繋がる 高齢者の転倒の怖さである
転倒③
スーパー脇の通路を通ろうと見たら、人がうずくまっていた
赤い血が見える
あわてて駆け寄ると 帽子をかぶった80歳くらいの女性が座りこんでいた
額から血が滴りおちている メガネはぐにゃりと曲がり 落ちていた
思いっきり 顔面から転んだということが推測できる
街中でシニアが引き歩くショッピングカートと 沢山詰められた買い物袋が地面に散乱してた
近くにいた数人で 手分けしての救助だ 救急車を呼び 近くの交番に走り 店舗のスタッフを呼ぶ
額からは夥しい血が滝のように出てくるのには驚いた
ありったけのティシュを出し傷口を抑えさせる
額は指を切るのとは違い 血が沢山でるのだそうだ
何故かコンクリートに落ちる血が気になるらしく 額を抑えたティシュを外し床に手を伸ばす
そうすると 驚くほど額から大量に血が滝のように滴り落ち 瞬く間に血だまりが大きく広がった
交番から警察官2名が飛んできた 店の人がペーパータオルを抱えてきた
救急車もほどなくしてくるだろう
血の量だけみると大惨事だ 額は何針かは縫うことになるかもしれない 脳震盪を併発していなければいいが
他の箇所も骨折していなければいいが 顔は腫れて痣ができるかもしれない
何より本人が顔面から転んだ痛い思いと
公衆の面前で 人様の世話になってしまったことに対して とても落ち込むだろう
家族は家にいると言っていたので 後の心配は必要ないが 通院とか入院とか しばらくはいろいろ続くだろう
転倒だけでは済まない 高齢者の転倒の典型的な怖さである
高齢者の転倒は 想像以上なことになるケースが多いのに 当の方々はどうも想像が膨らまないらしい
「転ぶから気を付けてね」といっても 大概
「転んだことないから」「気を付けているから大丈夫」「転ばないから」
と返答がくる
中には「転びすぎて 身体丸めて受け身できるようになったから大丈夫」 には唖然とした
「高齢者の転倒の怖さ いろいろ」 を 目の当たりにした夏だった

