おしどり夫婦

子供がいない夫婦の妻が病で先に亡くなった

享年75歳 調子が悪く救急搬送された時には病は進行した状態で施しようがなく、闘病3か月で天に召されてしまった

 

私の業務は、妻死亡後の相続手続きのお手伝いと、夫の生活支援

市営住宅で、そして年金でつつましく暮らしていたので相続財産なんてほとんどないが

それなりに手続きはしなくてはならない

 

夫は数年前に脳梗塞を起こし、半身麻痺の身であった

妻は、かなり甲斐甲斐しく世話をしていたようだ

妻は救急搬送されても夫のことを気にかけ、身体も弱り歩くのもままならない状態にもかかわらず夫の世話を熱望し、退院を強く希望していたが、叶わないまま亡くなった

私の関りは妻の死亡後だったので、妻とは面識がなかったが

自分の死に際まで夫を気遣う妻の姿に、オシドリ夫婦、夫婦の強い絆を感じていた

 

夫の利用しているディサービスの担当者からも

妻の甲斐甲斐しさのエピソードが語られた

好き嫌いの多い夫のために

食事も好きなものをいつもたくさんこしらえ、小鉢に並べて出していたり

自分の者より夫のものを優先に購入していたようで、妻の贅沢品は何一つなかった

など、夫優先の生活ぶりが伺え なんとも夫を大事にしていた妻と

夫もそんな妻を亡くし、時に涙ぐみ気落ちしていた姿に温かいものを感じていた

 

そういう中、いろいろな手続きが進むにつれ

妻の妹から生前の夫婦の生活ぶりについて話を聞く機会があった

「実は、人前でもどこでも、お義兄さんは姉ちゃんのことを殴り怒鳴りちらしていたの 姉ちゃんも実は嫌がっていてね」

「私も怖くて。。。だから嫌いなの 世話にはなったんだけれど、苦手なの~」

 

ディサービスの担当者の証言も

「実はそうだったみたい。今もその気があるのよ」

 

え~~~そ・れ・は

「ドメスティックバイオレンス(DV)」 による感情の支配

自発的な愛のある感情で、甲斐甲斐しい世話をしていたわけではなく

妻の甲斐甲斐しさは、なんと恐怖に基づく支配からの行為からだったのだのかもしれない

 

夫婦間のDVは、ギリギリまで表出してこない

今でこそDVは問題行為と言われるようになったが、昔は家の中のこととして触れない問題だった

 

この日本は、世界との比較でも男尊女卑がいまだに強いという数字が出ている

男は強い?賢い?偉い?

男性唯一の武器として腕力を使って特権と振りかざす輩がいる

そんな輩に限って、深部が弱い 弱いからいいように解釈して 自分の鎧として腕力武器に使う

 

友人の女性弁護士が言っていた、弁護士試験合格者の上位は女性が占めているんだそう

また、今年の医学部合格者は、操作されなったためか女性の方が合格率が上がった

優秀さに男女関係はないと証明されつつあるが、何となく大きな声で言える状態ではない

女性リーダーは女子校出身者が力を発揮すると何かで読んだ

何故なら、共学だと、どうしても男子優先の雰囲気になり控えてしまうからで

女子校であれば気兼ねなくリーダーシップが育まれるためだから らしい

 

私が社会人に成りたての平成元年のころに発令した

雇用機会機会均等法では女性の地位も確保されたはずなのに、大きく変わった感じもしない

力の弱い、女性を力づくでねじ伏せる輩は、職場内や家族にいる

政治の世界でもよく見受けられる

ただ、「DV」「ハラスメント」と大きく叫べるようになっただけでも以前とは違う

それだけでも進歩とするしかない

 

この妻、亡くなるまで精神的に支配され続けていたのか

妻の本心は聞くことはできないが、実はどうだったのだろうか

会ったこともないこの妻に思いを馳せながら相続の手続きの支援を続けている