ダイバーシティ

その大学病院の玄関は、いつもごった返している

古い建物のためか動線もごちゃごちゃで縦横無尽に人が行き交う

その病院のメインの出入り口は1つだからか入る人も出る人も同じ場所でで交差するという造りには驚きだ

そんな矢先

たまたますれ違い何となく見た車椅子に乗った女性とそれを押す男性

高齢の方が多く使う印象の車いすだが、その女性はまだ若く後ろの男性は更に若い印象だった

どちらもマスク姿で全体の顔は見えないが、目元だけからの雰囲気で想像すると

女性は、目じりに皺が刻まれていて年齢は40歳代か

男性は、色白で細身でツルっとした横顔で青年ぽい雰囲気だ

玄関で案内係をしていた女性に車いすの女性が話しかけた

案内係の女性と車椅子の女性が何やら話していたが 案内係の人が車いすを押している男性に向かって「‥‥お兄ちゃんかしら~?」

車いすの女性がすかさず「あっ、だんなです!」

小耳にはさんだ私も、「えっ!だんな?」と興味津々二度見してしまった

マスク越しでもどう見ても年の差はあるようにしか見えない

青年の雰囲気は夫というか、身体付きも息子のほうががまだ似合う感じだ

年上の妻の通院に甲斐甲斐しく付き添う若い夫

若い夫かぁ いいねぇ羨ましい~💕💕 幾つ差があるのかしら 今更でも憧れる

それにしても

案内係の女性の慌てふためき加減が半端なかった

「えっ!あらごめんなさい~。息子さん、いやいやご姉弟に見えてて そう、ご姉弟に ごめんなさい~~~」

と声も大きくなり取り乱しごにょごにょ取り繕っている(笑)

 

新宿などの都心に出ると、女性同士や男性同士で手を恋人つなぎで歩いているカップルを多く見かける

また女装の男性もそれなりに街に溶け込んで歩いている

そう考えると芸能人が先陣をきってカミングアウトし実践してくれた功績は大きいと言える

とはいっても、いかにもな女装男性とすれ違うと 興味津々に2度見してしまう自分がいる

また歳の差婚はいまだに芸能人でも話題性が高い

先日エレベータ―から降りてきた 小さな子供を連れた若い女性と初老の男性を見て

友人と意見が分かれた 夫婦?親子?

「いやいや親子でしょう~」

「今時の流れだと夫婦もあるかもよ~」

「・・・・・・」

そんなことを言い合っているようでは、多様性が普通の風景になるまではまだまだ程遠い

多様性を理解しつつも自分の年代では訓練が必要な気がする

いつの間にか、自分は古い人間の仲間入りをしているようだ

 

「ダイバーシティ」 多様性

都会では大きく取り上げられ 大分浸透してきているが

田舎に住む叔母の話

夫である叔父が亡くなり独り暮らしになったこともあり、町内会を脱会した

そこは何十年も続く町内会で だいたい男女別々の長老が牛耳っている

嫁に来た時散々長老たちに嫌味を言われてきたのに 自分が長老の番になると嫌味を言う側に回る図式がいまだに残る

縁もゆかりもない若い家族は町内会の入会を避けるので、加入者は昔からの縁者面々に限定されている

脱会した叔母は 早速 町内会の面々から無視をされるようになった 挨拶をしても無視 皆そっぽを向くという徹底ぶりだ

同じ位のお嫁さんが見兼ねて 脱会を諭にきた

仕方なく また町内会に入ったら 何事も無かったように 面々は挨拶を返してくれるようになった

と、面倒な人間模様の話をしていた

町内会に所属するか脱するかで人間関係が変わる まだまだ古い感覚が残る日本

ダイバーシティどころじゃない

 

仲間の中に異色異分子を自分のテリトリーに迎え入れる難しさは、想像以上に難しいことのように感じる

自分を護るための本能にも影響しているだろう

「多様性」と言わずそれが生活の中に馴染むのは いつのことになるのだろうか