再婚と相続

ここのところ立て続けに再婚夫婦の相続案件に携わった

再婚は当人同士で決めていい

しかし相続で起きる親族を巻き込む騒動の責任までイメージして欲しいと切に感じる

 

再婚夫婦には子供はおらず夫側に前妻との子供がいるパターンが目立つ

大概夫が先に亡くなる、夫の相続人は後妻と前妻との子供ということになる

後妻と前妻の子供との関係性が相続手続きにこんなにも影響することを再婚時に想像しているだろうか

 

関係性がよければ、夫が亡くなったことを後妻から子供に連絡し、相続手続きがスムーズに始められる

逆に関係が断絶しているだけではなく、後妻を恨んでいるとなると、後妻は亡くなったことすら連絡できず、結果放置してしまう

専門家に頼もむことすらしないとなるともはやお蔵入りになる

 

2年前に亡くなった夫の相続手続きを放置していた後妻 その後本人も亡くなった なんと後妻の相続人も手続きを放置していた

その3年後ひょんなきっかけで掘り起こしてみると

後妻の遺産は当然に 5年前に亡くなった夫の定期預金等1,500万円も眠っていた

夫の子に連絡を取ると、相続放棄をする流れとなり、

相続人は、妻の兄弟と夫の兄弟へと広がってしまった。総勢15名

想像もしていなかった沼に嵌った気分だが、関わってしまった以上、関係のない第3者が汗をかくしかない

 

後妻が夫の小さな連れ子の母親となり 3人家族で生活してきたが、養子縁組をしないまま夫が亡くなった

残された妻は95歳 10歳のころから一緒に住む息子はすでに65歳

親子同然に一緒に生活してきたのに、悲しいかな赤の他人だ

後妻側の弟は長年この子供付きの再婚を反対し、数十年も長い間その夫を恨み続けていた

夫が亡くなると、今度は残された子に心無い言葉をかけるようになった 「この結婚には反対だった 認めていない」

今更連れ子に吠えて何になるの分からないが、恨みは深い様子だ 連れ子の責任でもなんでもない

妻は高齢で同じ高齢の弟に頼りながらも、息子にも何かと頼る雰囲気だった

息子は後妻に育ててもらった恩義を感じつつも、戸籍上は親子でない遠慮と 義伯父の建前上疎遠にならざる得ない状況になりつつあった

結果夫の相続手続きは5年も放置されていた

養子縁組を相談する夫(父親)は既に亡くなり、せっかく築いてきたステップファミリーは崩壊してしまうのか

養子縁組を長年放置してきた責任は、夫婦にある

そのことで子供が辛い思いをするのは論外だ 再婚で一番気を使わなくてならない問題に無頓着なことが悲しい悲劇を生む

現に息子は伯父から口撃され、母親と意識しながら他人だという辛い境地に振り回されてきた

相続手続きを開始するにあたり

まず養子縁組を提案した 妻は「なんで今までしてこなかったのかしら」と スムーズに受け入れた

第三者が入る意義を感じた

戸籍上でしっかり親子になった母息子 息子はスッと涙を流していた

 

再婚した夫には3人の娘がいた

長女はすでに成人していたが、全員前妻が引き取っていた

長女と後妻は馬があうのか、夫を介して交流は続いた

育児放棄気味だったらしい先妻が先に亡くなり、その後 夫が亡くなった

長女は後妻を「おばあちゃん」と慕った

代りに三女との関係は悪かった 相続人は娘3人と後妻の合計4人 当然相続手続きは難航した

一緒に生活してきたわけでもないし、養子縁組はもちろんない 最後の砦の公正証書遺言書も作成されていない

最悪の事態にはならないものの、時間は要したが無事何とか着地した

90歳になる後妻には子供はいない 頼れる親族は妹だけだが、義理の長女との関係性も変わらず良い

今はその妹と長女の近くの施設に越し、皆に囲まれて穏やかに生活をしている

 

再婚と相続

生涯独身や離婚も増える中、再婚そしてステップファミリーの垣根は下がって当然だ

しかし数十年後の相続時に噴き出す問題 そのしわ寄せは何の責任のない子供に向かうのは想像できただろうか

 

「家族 相続」 とてつもなく奥深い