社会人

今年で5年目になる大学講師の話は、前のブログでも取り上げている。

私の講座は「不動産業界と女性の活躍について」をテーマに、不動産業界、働く意義、特に営業職について話すようにしている。

最後にレポート提出が採点基準になっている。授業時間の最後の20分ほどの時間を使い作成提出してもらう。

文字数は多くなくても、講義を聞いて自分が感じたことや思い迷いを素直に書いてもらうのが目的だ。

 

女性で不動産業界で営業経験をそれなりに行い、今もその経験を活かし活動している人は少ないことは確かだ。

今だから本心から綺麗ごとはいえる。いや綺麗ごとではなく仕事・営業職の本質というのが正しいかもしれない。

偉そうに綺麗ごとを遠い目をして言うが、

もちろん嫌な経験はもちろんしたし、泣いたし、パワハラ・セクハラは当然。お客様とのトラブルもなくはない。社内恋愛で二股かけられたときは悲惨だった。また知らぬうちに上司の横領に加担しそうになった時もあった。話出したら止まらないほどのヘビーなエピソードは、沢山持ち合わせている。不動産業界が信用できず、その環境に居る自分が嫌だった時もあった。

そんなわけで20代は特に心身ボロボロだった。新卒の意気込みは消え、何の夢も希望も見いだせない日々に辛さは倍増していた。

みな、同じ経験思いを乗り越えてきているはずだ。私だけではない。

とうことで、乗り越えてきて今地に足を付けてやりたいこと実現に向けて行動できているからこそ、本心で伝えられる。

 

講義で学生に

□不動産は「衣・食・住」生活になくてはならないもの

□不動産は世の中の仕組みの骨格でもある

□営業は、「話すの得意ではないし、ノルマとか厳しそうで向いていない」と自分中心に考えると嫌な仕事と思うかもしれないが、人の生活が幸せになるお手伝いであり相手中心に考える仕事、話を聞いてニーズを引き出すのが得意な人は向いている

□休みも他に比べると、しっかり定期的に取れる環境であり、給料も高い水準

なんて話をすると、不動産・営業職の印象が変わるようだ。

レポートでも、「不動産業界興味がわきました 就活検討してみます」とか、「営業は人を幸せにするお手伝いと考えると興味が湧いた」「不動産は男性ばかりだと思っていたが、女性でも働ける場があることを知れた」「町の不動産屋さんしか知らなかったが、デベロッパーなどいろいろあることが知れた」と社交辞令かもしれないが、それなりの発見はある様子に安堵している自分もいる。

ただ、私の経験談・思想は今だから話せる乗り越えた先の行き着いたいわゆる経験に基づいた綺麗ごとでしかない。

私の話のイメージそのままに現場に入った時のギャップに申し訳なさを感じる。まっそれが社会人の登竜門だから温かい目で見守るしかない。

そして荒波乗り越えてもらいたい。

そんな思いでレポートの採点をしている。

 

息子の次男は、ことし社会人になった。

エンドユーザ向けの店舗での販売営業職だ。

入社したてのころは、意気揚々と自信満々「やってやる できる」と目を輝かせていた。

で、半年過ぎた今

ヘロヘロになって帰ってくることが増えた。

早々に愚痴三昧が始まる。(営業を知る母で良かったね~とは言いませんが)

お客様の要望に上手く対応できず、クレームギリギリ(本人はクレーマーと感じている様子)のところをなんとか対処しやりくりしている案件を抱えている様子だ。

聞くと、やはり初期対応と、言葉かけ・確認が弱いようで、予想外に深みにはまっているような感じだ お客様もクレーマーになりたくて要望を重ねているわけではないというのも分かる。ベテランが対応していたらまた別な結果になっているような感じもする。

で、たぶんイライラしているのが態度に出ている。経験が浅いからゆえの状態だ。

まさしく新入社員の登竜門だ。根気よく最後まで対応させているリーダーに感謝したい。見守り続けるのもしんどいだろう。

そしてその練習台(ごめんなさい)になったお客様に申し訳ない思いも抱きながら、

自分の新卒のころを思い返しながら「いい経験しているじゃん」と真剣な顔をしながら内心ニヤニヤ愚痴を聞いている母であった。