自己肯定感

実は、大学進学先は文学部心理学科を目指していた

現役の秋までは

高校時代バスケットボール部に所属し、部活動中心の生活で勉強は全くしていなかったが、大学に進学したかったし心理の勉強がしたかった

部活動は夏前に引退したが、心はぼろきれのようにズタズタで、ぽっかり空洞状態で受験勉強に上手く切り替えることができなかった

部活は1年次こそ無我夢中にのめりこんだが、2年、3年にあがるに従い

心も身体も縮こまり怖いだけの場になった

怒鳴られることが苦手でコーチの顔色を窺うようになり、好きなバスケットボール競技もいつしか楽しいものでなくなった

しかし退部する勇気もなかった

十数人いた同期も引退時は2人になった

当時の写真はどれも重苦しい顔をしている

 

どうして自分は適応できなかったのだろう

縮こまってしまったのだろう 力を存分に発揮できなかったのだろう 挑めなかったのだろう 楽しくできなかったのだろう

何がいけなかったのだろう 自分というのが分からず不完全燃焼だった

その自分をしりたい解明したいと考えたのかもしれない

そうして心理学に興味をもった

 

当時、心理学というのはメジャーな学問ではなかったし、本当のところ自分にはよくわからなかった

ので中学校時代の恩師の元を訪ねた

国語の鈴木先生だった

先日出てきた日記を見て思い出した

鈴木先生は

「心理学なんて、研究する学問で本ばかり読んでいる人ばかりだし、合わないだろうから止めたほうがいい」

と言った

受験勉強も身に入らない時で、現役合格は出来ないとだろうと踏んでいたし

しかも、親にも大学進学を強く反対されていた

「女は大学に行ったら嫁の貰い手はなくなるから必要ない それでも行きたいなら 4大なら茨城大か筑波大、短大なら地元」

「東京は絶対にだめ お金もない」

と、今更国公立は受験できる状態ではなく、地元の短大なんて魅力は感じなかった

浪人もそして東京に出るなんて絶対に出来ない状態だった

一般受験で心理学科は無理かも⤵

でも東京の4大にいきたい!家から出たい!

その気持ちが勝りかけていたところに

偶然指定校推薦の呼びかけが担任からあり、電光が走り飛びついた

家政学部被服学科 得意分野だ レールがはっきりと見えた

親を説得させる 絶対に説得させてみせる

 

お金の年間計画を書き出した 収支バランスを考え説明した 全力で口説き泣き落とした

どう考えても力技であるが、しぶしぶ東京の大学しかも私立4大の進学を認めてもらえたのであった

 

そう、私は親のいる家から離れたかったのである

私は家が嫌いだった

世間体が一番で、それに恥じないような子に育てることを目的にしているんじゃないかと思っていた

私のためといいながら、自分のためだろうと感じていた 全てそう感じた そして今も感じる

何かと言えば

「そんなに言うことを聞かないなら、世話してあげない。これからは自分でしなさい!」と事あるごとに言った

多分、「お母さんごめんなさい」と言わせたいんだろうと感じた 親の存在価値を高めてコントロールしたかったのだろう

私は冷めた感覚で、その手に乗るものかと 反抗した

結果、高校生になると、洗濯もお弁当作りも全て自分でこなした、絶対に親に負けるものかと

高校時代、「腰が痛くて」と母親に珍しく話したら

「子供が産めなくなるから部活を辞めなさい」と言われ心底がっかりした

そのうち話をすることもなくなり、親が必要なのは、『お金だけ』と思うようになっていた

自分も親となり親の立場で考えると酷い娘だが、お蔭で自立心たっぷりの子供となった

父親は真面目なだけで会話の成り立たない人だった 口を開けば自分中心というか世間体という思考だった

そして家族総出で行うお餅つきや大掃除など、自分の思う通りに動かないと、がみがみ怒鳴り散らすばかりであった

いつしか父親に相談も話すこともなくなった

食卓はテレビがおかずの家になっていた

自分にとっていつしか父親も母親も一目置く存在ではなくなっていた

 

大学に入り、地方出身の友人に「ゆきえは親の話一切しないね~」と言われたこともある

そんな友人は口を開けば、親の話ばかりしていた その感覚が分からなかった

その後、社会人となりそして結婚し子供をもった私に

母親は相変わらず世間体という物差しで口を出し続けた いま思い出しただけでも心が痛い

 

「自己肯定感」

ふとしたきっかけで、復習するがごとく心理関係の本や動画を多く見始めた

言葉は知っていたが、子供を持ちアラフィフとなり、社会福祉士として目線も変わり

親の影響もかなり薄くなりつつ穏やかな心で、違う解釈で理解することができるようになっていた

そうか、私は不安だったんだ、私は自分の存在価値はどこなのか、その答えを追い求め続けているのだ!!

そのことに気づいてみて、よく考えてみたら、それを知りたくで心理学の大学に興味を持ったんだということに今頃つながった

驚いた。

 

自己肯定感が低いとどう影響するか

『マザコン 愛着障害 毒親 アダルトチルドレン 自己愛 DV  モラハラ マウント 引きこもり 兄弟関係・・・・』

などよく聞く問題行動につながるようだ

深層心理に、年齢に関係なく親に認めてほしいと執着し続けるがことが根っこにあるらしい

凄いのは自分とその親だけでなく、自分と子や親とその親の代から関係し続けるところがこの問題の奥深さである

そして誰しも自己肯定感の高低で苦しんでいることをこの歳で知った 自分だけではなかったのだ

だたその傾向が強い人は、他人の目、親の目、を痛いほど意識しており 想像以上にずっと苦しんでいることも知った

そしてその不安をかき消すために、弱い自分を護るために行動が行き過ぎてしまうため、更に生きづらくなってしまうらしい

古今東西人間関係の問題の根本はここなのではないかと壮大な結論に行きついた

そんな深い親子関係の罠を、自分の子供を育てる時に知っていたら良かったのにと今更ながら思う

 

今、幼いころからの自分の言動、思考、親との関係を思い出している時間が増えた

自分は何者でなんのために生まれ社会に役立つ人間なのだろうかと、これからどう生きていくのがいいのかヒントを探っている時間が増えた

そして10代の時と思考が変わらない自分がいた

年齢的に親への意識はだいぶ客観的になったが、まだザワザワするのも仕方ない

でも自分がしたいようにさせてくれた親に感謝しようと思うようになった

大人になったな~

そして自分を大切しよう 今からでもできると誓う

 

いろいろ考え気づき繋がりが分かり、その興味赴くまま人の心理傾向を深堀している今、心理学科への進学の心残りは消えた