シニアのお金事情

ここのところ立て続けに、シニアのマネー支援業務を多く受ける

支援に入る方のだいたいの生活パターンは

独居で家族も近くにおらず気ままに生活を続けてきた方で

仕事を定年退職した65歳くらいから年金だけの生活が始まった時は

まだまだ健康で病院にかかることこもなく、時間を弄びながらもゆったり生活をしていた

お金は年金と足らない分は貯金を無作為に引き出して気ままに暮らす

貯金がどれくらいあって、毎月どれくらい引き出せば何年で無くなる・・・なんて計算はまずしない

当然どんどん目減りしているがお構いないし

そして数年たち、病院に通うことも増え、貯金の目減りも加速し、底が見え始めているのにも無頓着な状態

というか、見て見ぬふりもしくはなんとかなるというか深く考えることをしなくなり(これも老化現象のひとつ)

早期改善をしていれば傷も小さいのにと遅まきながら思うが、無意識のまま黄色信号状態となる

そんな時に、大病で緊急入院という事態が訪れる

緊急入院だから、自分の意思で治療を希望するわけではない

気が付いたら、医師のサインで心臓にペースメーカーが埋め込まれているケースもある

そして入院は、今までの生活費+入院費が必要だ

当然ながら

治療費だけではなく、今は入院時のパジャマやタオル、オムツまでも支給され高額なレンタル費が請求される

入院も、急性期病院のあとリハビリ病院へ転院が王道で、3か月から長くて半年や10か月と入院が続く

自宅の支払だが、電気ガス水道や家賃など定期支払が年金から自動引き落としになっているのであればまだ良いが

都度支払っていた場合、緊急入院となると、今まで自分で支払ってきたものが、一切滞る

家族がいないといろいろな支払が放置され滞納が起こる

あっという間に滞納額が増えていく

数か月たち、なんとか退院で優先的に病院の支払を済ませた時に預貯の残高を見て愕然とした時には時すでに遅し

さらに家に帰ると、請求の督促状が何枚も送られてきていて、パニック状態に

増えた滞納金は、増えすぎてもはやすんなり払える額ではない

というケースだ

 

昨日TVで女優の天海祐希が

彼女のお父様が生前娘に言った言葉を語っていた

「小さく暮らせ、大きくするときはいつでもできる、大きくしてから小さくすることは難しい」

どういう意味かというと、「いつ人気が落ちるか分からない仕事なのだから見栄をはるな 小さく暮らせ」

という教えを今でも守っているという話だった

 

数名の方の似たような事態の支援をしていると、とても的を得た娘思いの言葉だと感心した

 

70歳まで働き、年金生活になった途端脳梗塞で入院した方の支援に入った時

70歳まで真面目に働いていたにも関わらず、貯金が100万円程度だったので聞いた

「競馬と酒につぎ込んでいた。。。毎月相当使っていたからね 貯金はしていなかった。自業自得なので、伴さんの言うことを聞いて暮らします」

 

また先日、退院支援をしてほしいと、ある70歳の独居女性宅に伺った

ソーシャルワーカーからはお金はあまりなさそうだという話は聞いていた

自宅に訪問して驚いた

1DKの小さい持ち家マンションではあったが

食器、家具やベッドは高そうなものばかりで

洋服は無造作に山ほど重ねられていたが、どれも高級品らしい雰囲気

よく見たら着物も数枚見えた

ただ者ではない雰囲気であった

聞けば

御主人は数年前に亡くなっていたが夫婦で有名なお店を切り盛りしていた奥様だった

全盛期にはお手伝いさんもいたり、買い物はデパートの外商

いまだに財布はシャネル

昔話は、昔の栄光の時の記憶ばかり

で、この方の現状は案の上、数枚の督促状があり入院費も払わず退院してきている状態で

シャネルの財布の中身は、財布が泣く 5,000円ほど

代りに通帳記帳してきたら、ゆうちょ銀行とみずほ銀行どちらの口座も1,000円も無い状態だった

年金の額は2か月で7万円ほどで、その時点で年金支給日まであと3週間もあった

またクレジットカードの請求明細をみたら、数か月前に銀座のデパートで3万円ほど買い物している請求がされていた

何を購入したのか聞いたら「お友達にシャネルのお財布プレゼントしたのよ」…….

聞けば一事が万事そんな生活ぶりであった

現在食べるものを買うにも困る状況で

携帯電話も滞納、電気、ガスも滞納し始めている

次の年金が支給されても焼け石に水、どうやっても改善の余地は見えない

ご本人は、入院ショックで策を考えられる状態ではない

唯一残された資産である自宅マンションを売却するしかないが、簡単にしかも高額で売れそうにもないし

案の上、本人はおいそれと決断することは難しい精神状態であった

 

この方は、速攻で行政につなげ支援をしてもらうよう手配した

残念ながら自力で持ち直すことは無理である

破綻の兆候は数年前からあったが、構わず大風呂敷のまま生活していたのがそもそもの間違いである

が、人間の生活とはそんなもんだ

この方に限らず、他の方も同じような流れではあったが、

ショートせずギリギリV字回復が出来た方もいれば

自己破産の手続きを使い、立て直しの支援をした方もいる

どの方も60歳後半、70歳代とまだまだ若い

この先何年生きるか分からないし、また入院するかもしれない

もしもの時には、お骨を単純に焼くだけで20万円 家財処分に数十万と、「一にお金二にお金」が現実である

「だったら死ねばいい~」と呟いた方がいたが、

「今死なれたらお金ないのに逆に迷惑だ 無責任なこと言わないで」と思わず半ギレしたことも

 

貯金も計画し、お金の使い方もシュミレーションした上で、介護サービスを使いながら

健康で文化的な最低限の生活と終活をも見据えた生活全般のアドバイスはこれから増えていくのかもしれない