ひまわり畑での出来事
仕事の打ち合わせの帰り、車で移動中に見つけたひまわり畑に
思わず車を降りて癒されていた時の出来事
この畑は環境保全と地域活性化という目的で取り組んでいるというのは後から知ったが、見事だった
抜け道にもなっているせいか農道に近い細い道にもかかわらず、比較的交通量があるその場所は駅からも遠く
都市計画区域外なのだろうか、家もなく畑と空が広がる場所である
私は一人で写真を撮ったりし悦に入っていた
そこに、先ほどすれ違った70歳後半?のおばあちゃんに声をかけられた
「あのー 来た道がわからないのですが・・・・」
えー徘徊!?
徘徊か?徘徊か?徘徊か? って疑うのは仕事柄的に仕方ない
落ち着いていろいろ質問し探ってみる
家はどこなのか?どうやってここまで来たのか?何しに来たのか?
「家はヤコウ駅近く」 「電車で移動して駅からここまではバス??」
「どこの駅から来たのかは???」「お墓詣りが目的」
「帰り方がわからない」
バスの便も良くないし雨も降ってきたので、とりあえず駅まで送るとして一旦車に保護
最初は遠慮していたが、素直に乗っていただいた
とりあえずヤコウに帰れる駅に向かった
車の乗り降りから、車の中での会話など観察を続ける
「コト何とか神社にも時間があったら寄りたかった」
というので、近くにある有名な神社のことだと、通り道だし折角なのでと、立ち寄った
そんなことをしながら20分ほどの間
車内で落ち着いてくると、どこの駅からバスで来たのか思い出したりしてきたり
受け答えや顔つきも本当にしっかりしてきた
そうこうするうちに目的にしていた駅のロータリーに到着
このまま電車で帰れるのか心配だが
これ以上根拠もないのに疑い引き留めるわけにもいかず
気を付けてお帰り下さいと別れた
初期のアルツハイマー型認知症の場合、話を取り繕うのがうまい
家族でも気が付かない
3年に及ぶ老人ホームでの傾聴ボランティアの活動や社会福祉士の実習で経験した認知症対応で学んだ感覚
その経験が、私の母(おまっちゃん)がアルツハイマー型認知症であることに気づくことができた
なんか違うなという感覚でしかないが、疑い病院に連れて行き診断を受けた
そんなおまっちゃんだが、さすがに車の免許は返納させたが、いまだ自転車に乗り買い物に出かけATMでお金を下ろす
父と50数年変わりない生活を穏やかに送っている 本当に普通に
今私が出来る事は、まめに帰省しお互い思い残すことがないように沢山話をすることかなと思っている
そして生活の観察と終活の準備と介護の心構え
認知症はある日突然罹患するわけでない
ひたひたと長い年月をかけてゆっくり進み、とうとう紛れもない症状がでることで周りが気づく
おまっちゃんもこれからなのだろうなと心の準備はしている
先ほどの方
道がわからなくなりパニックになったのが原因で判断や記憶が曖昧になってしまっていたように思う
でも肌感覚の無責任発言で申すと、初期のアルツハイマー型認知症のような感じもする
そう思いながらも、今日は無事帰宅できると思う まだ大丈夫、絶対に
そういえば
私に声をかけた経緯を車中で話始めた
首からネームプレートを下げていて役所の人に見えたから安心だと声をかけてみたそうだ
「役所の人間ではありませんが、社会福祉士ですのでご安心ください」
そういえば今日私は地域包括支援センターに行ったので社会福祉士の会員証を首から下げていたのだった
そして車からの降り際に
「これもご縁 ありがとうございました 主人は民生委員なの」
と言って、白い包み紙を義理固くおいていった
『・・・主人は民生委員なの・・・・・』 いまだ耳の奥に残っている